マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜

真の大人になるということは 『私のおじさん』のネタバレ、レビュー

「普通の説教を10回を聞くより、このドラマを一度見た方がマシだ。」

生物学的にも法的にも自らを「大人」と称するのは難しいことだ。

一つの人生を歩むことも容易ではなく、守らなければならないことは多くなり、次第に素直ではいられない状況が多くなるからだ。

ドラマ『私のおじさん』は人生の重さに耐えながら生きていくおじさん三人と、荒々しく生きてきたある女性が互いを通して人生を癒していく話だ

単に人間の匂いがするヒューマニズム的要素を超え、人が何なのか、

大人が何なのか、ひいては人生をどのように生きていけばいいのかをドラマの中の人物たちの関係と人生を通し見せてくれる。

ドラマの主人公イ・ジアンは、貧しいながらも暴力的な消費者金融業者のクァンイルに苦しみ、祖母を一人で扶養する20代の孫娘家長だ。

昼は派遣職として働き、夜はアルバイトをしながら

大人らが満たすべきだった保護具さえ装着できないまま

耐え難い傷をそのまま受け

自分に転嫁された借金を返すために孤軍奮闘しながら日々を生きていく。

もう一人の主人公パク・ドンフンは、ジアンが勤めている企業の安全診断チーム部長だ。

彼は今の時代にはめったに見られない清廉潔白な人物だ。

会社内の政治争いから始まった賄賂によって彼は困難に陥り、

ジアンは代表取締役の側に立って金を受け取り、賄賂の存在に気づいたパク・ドンウン常務とパク·ドンフン部長を追放する計画だ。

このため、ジアンはドンフンの携帯電話に盗聴アプリを設置し、彼の行動や言動の一部始終を聞くことになる。

そしてジアンは、ドンフンの本当の人生を知ることで他人の人生に初めて感情移入することになる。

人生の重さが混ざったため息、人生の方向を失ったような足音。

善良で正しく生きる人生の裏側にも寂しさと疲れが存在するということを。

何の望みもなく、毎日を誠実な無期懲役囚のように耐えていく彼の人生を見ながら、次第に憐憫と慰めを感じる。

優しかった人々は、ジアンの過去を知った瞬間皆が去った。

そうして一人残されたジアンは人々の好意を信じられなくなり、大人の助けなしに自ら成長した。

そのためジアンはドンフンの配慮と好意を信じられず警戒したが、

ドンフンはそんなつらい人生を生きていくジアンに大人としての責任と道理を尽くし

彼女の肩を持ち、ジアンの傷と亀裂を見つけ診断し治療した。

自分の人生を知っても味方になってくれたドンフンに、ジアンは「人のぬくもり」を感じる。

ドンフンも、かわいそうな自分の人生を知り、いい人だと言ってくれた

ジアンに慰められ、辛い人生を生きていく互いの人生を見て慰めを得る。

幸せに暮らそうという誓いを叫んだまま、痛みの共鳴が治癒を遂げたのだ。

ただの平凡なおじさんであるドンフンの人生を知ることで、ジアンは人が何なのか知ることになる。

人を信じられなかったジアンは大人から助けを得て成長し、

そうして自分も大人になり世の中へと進む姿を描いて終わる。

世の中に捨てられたと感じる瞬間があるだろう。

だがジアンがドンフンに出会ったように、ドンフンがジアンに

互いを引っ張り合っていける大人になるのはどうだろうか?

彼らが慰めを得て成長したように、私たちも乗り越えて成長していくのだろう。

「おじさんが本当に幸せになってほしいです。」

「幸せになろう。僕ら幸せになるんだ。」